Sunday, September 19, 2021

Pastitsio / Παστίτσιο

※ アテネ旅行記 外伝、第参話 ※

インターコンチネンタル・ホテル・アテネの近所にある萬屋さん『ガイア』へも、また通っていました。

オーナーのスタフィくんが、いろんな飲み物を無理矢理勧めてくるのが少しアレなんだけど…。
これはホットのカプチーノ。この日は18℃以下の涼しい朝だったから、まぁ嬉しかった。

テイクアウトでアイスコーヒーを頼んだのに「ここで飲んでいけ」と、カッコイイ器で淹れてくれた。頼んでないものを出したので料金を受け取らないけど、いくら仲良くなっても旅人にこういうのは、なんだかなぁ…。

こういう場所でたむろしています。近所の常連さんや旅の通りすがりさんがやって来ます。
今回もカナダやアイルランドから来た旅人や、常連の旅行ガイドさんといろいろ話せて楽しかったです。アイルランド人の御一行様はホントに見事な赤毛で、レイシストな僕はうっかり笑いそうになりました。

さて、スタフィくんがパスティツィオは食べてないのか? ギリシア名物だぞ!」と言われて「何そのシンタグマの隣の駅名みたいなの??やっぱムサカが一番でしょ?」とかいう話になって、スタフィくんがその妙な名前の料理を強く推している時に… 常連の旅行ガイドのおじさんが、朝にもかかわらず『昼休みのビール♪』を飲みにやって来ました。

そこでスタフィくんが「ギリシアの5大名物料理は何だ?」って、旅行ガイドのおじさんに聞きました。

「… ムサカ?」

ほら、やっぱりムサカじゃないか!(笑)

「他には? 他には何がギリシア名物?」

「…スブラキ?」

流石は旅行ガイドさんです。淀みなく答えました。

「もっと! 他にもギリシア名物があるだろう?」

「…オリーブ?」

これは少しワロタよ。

「そっちじゃない! 他にあるだろ?」

「…ウゾ?」

ガイドのおじさん、ナイス!!(笑)

「ほら、その『シンタグマとオモニアの間の駅』みたいなの、名物じゃないじゃん」

「だから違うんだってば!! パネピスティミウ じゃなくてパスティツィオ!!」

メトロM2線シンタグマとオモニア駅の間にあるのはパネピスティミウ / Panepistimio / Πανεπιστήμιο。
スタフィくんが推す、パスタを使ったムサカ風料理はパスティツィオ / Pastitsio / Παστίτσιο。

今度は僕たちのこのやりとりを聞いた旅行ガイドさんが大爆笑しました。

「パスティツィオかぁ。そういえばそういう料理もあったな」

ほら。たいして名物じゃなさそうじゃんか。

・・・と、こんな会話があったのは今回の記事の伏線です。w


さて、スタフィくんの『改善その2』が、このギリシア風アイスコーヒー、店内用。
ガラスの器に、持ち帰り用カップの吸い口が取り付けてある…。

「これなら、中味が見えていいだろう?」と自慢げなスタフィくん。

「グラスが冷えてて気持ちいいけど、持ち帰らないなら蓋する意味がある?」

「・・・。こないだは中味が見えないって文句言わなかったっけ?」

それでわざわざ蓋を付けてくれたのか?w
地球にやさしくストロー廃止したのに?www

「そうだ。君はまだ俺のムサカを試してないぞ」

「だってアルカディアのムサカが美味しいんだもん」

「その店のムサカのどこが気に入っているんだ??」

「ベシャメルソースが1インチくらい厚いの♪」

「じゃあ俺のもベシャメル大盛りにする! 一度でいい。一度だけチャンスをくれ!

「やれやれ。じゃあ、明日の日曜日はアルカディアへ行くのをスキップするよ…」

そして日曜日の午後2時すぎ。ハラペコでカスムーリ駅まで戻って来て、ガイアへ。
最初に出してくれたのが、このヒヨコ豆の入ったサラダピンクグレープフルーツのソーダ

空腹は最高のスパイス」です。酸味の利いたヴィネグレットで、サラダを食べたら空腹感は増大。

そこへ、やっと出てきたのがスタフィくんが自慢していた特製ムサカ。
フェタチーズとか飾ってくれました。

「俺のムサカは特別なんだぞぉ♪」って、サラダを食べている時から、しきりに自慢します。

「Sichuan pepper(花椒)って、聞いた事あるか?」

さすがに「我が家の台所にもあるけど何か?」とは言い返さず「名前は聞いた事がある」と答えました。w

同様に「オールスパイスは知ってるか」とか「クミンは?」「キャラウェイは?」と訪ねてきます。www

「みんな名前は聞いたことがあるよ。西洋の香辛料だよね?」と、シレッと答えておきました。

 ち~ん♪

「あれはオーブンだ。電子レンジじゃないぞ!」って、それも威張るポイントかよ!?

さてここで、アルカディア(a.k.a. アルカイダ)で食したムサカをお見せしておきましょう。
たっぷりと厚いベシャメルソースの下には、茄子、馬鈴薯にミートソースが層をなしています。美味です。

そして、改めてスタフィくんのムサカですが…
約束通りにベシャメルソースが分厚いのがイイ。でもその下は、マカロニとミートソース?

「どうだ?俺のムサカのほうがうまいだろう?? 正直に教えてくれ!!」

「う~ん… 正直、微妙。メリジャーノ(茄子)が入ってないみたい」

「そんなはずはないぞ! もっと、もっと他の場所を切ってみろ!」

「でもミートソースと一緒に、パスタが出てくるんだけど…」

「しまったぁぁ!! パスティツィオを造ってしまった!!

笑う気力も萎えるほどのオチに、疲労感がどっと襲いかかりました。

一度きりのチャンス見事に無駄にしたね、スタフィ♪」

わあぁぁ!ごめん、ごめんよ 今度こそムサカを造るから!!」

「まぁ… 考えておきますわ」Let me think about it. ←まるで関西人の答弁。(爆)


要するにパスティツィオって、ギリシア風ラザニアだ。と乱暴に納得して宿へ戻りました。
アルカディアにパスティツィオあったかなぁ?とか、他店でも試す気になったのはそれなりに美味しかったから。で… 調べてみたら、お隣の店リオンディ(a.k.a.ライオン堂)にはパスティツィオがあります。試してみるかも。

こうして、とっくに還暦を過ぎたおじいさんにも学びのある旅を続けているのです。(笑)

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