日曜日の晩。明日はもうアテネの先生と別れて、アメリカへ帰ります。
最後の晩餐は… やはり2人前からしか注文できない名物料理、パエリアが食べたい。でも歩きたくない。
幸い、ホテルの隣のブロックにレストラン・コンプレックスがありました。なお、この場合の『コンプレックス』Complex は『複合施設』という本来の意味です。日本語の通用が少しおかしい。
ともあれ… パサジ・ダ・グラシアから入り込んだ、エル・ナシオナルというコンプレックスに入場。
ここには4軒のバーと4軒のレストランが入っていますが… 3連休の中日で混み合っています。
「この便所の写真を撮れ!」
「そんな変態なこと、できません!」
「だいじょぶだから、とにかく来い」
便所に連れ込まれました…(汗)
混雑を仕切っている係の人に「パエリアを出す店は?」と聞いて、2軒あるうちの高級な方だという店に。
夕食時間の早い、海外からの観光客に限って早い入店を許してくれるみたいで、ラッキー♪
いちばん隅っこのテーブルをもらって… ほら、通路は大混雑で、通りすがりの人々の視線が熱い。
テーブルセッティングは比較的カジュアル。
さて、まずはお飲み物の注文から。炭酸水はビッチィ・カタランを希望したけど、無い。
ワインをボトルで頼むと、オリーブの皿がおまけに付いてきます。
メインのパエリアが量多そうなので、アペタイザは一皿を分けあいました。
他の利用者がいなくなった隙に、すかさず、ぱっち。
この、レトロなしつらえの手洗いを撮影して欲しかった模様。確かにカッコイイよね。
石の洗面台を…
「これ、海泡石じゃね?」
「こっちはマーブルだぞ」
…って評価していたら、他の御不浄利用者にドン引きされました。
僕、ここに便所の写真を撮りに来たわけじゃないんですけど…。
LA LLOTJA、ラ・イョトハと読むんでしょうか? この店はガラガラ。
外は大混雑なのにここんちはガラガラ…。私、怖いわ。
相当御値段が張る店なのかと一瞬ビビりました。
でも結局ふたりで100ユーロだったから、妥当な値段というか…安かった。
予約持って無いけどテーブルがあるか聞いたら、本来は午後8時開店だそうです。今は午後7時半。
他にももう一組、英語で話す観光客がいました。その後、隣席にも英国人カップルが。
アテネの先生には店内を見渡せる側の席を譲って、外の喧噪は見せませんでした。
テーブル中央の QR コードは、オンラインでメニューを見るためのもの。
最近はどこでもこういったコンタクトレスが当たり前になってきました。
でもさぁ… コロナちゃんの感染って接触感染は 1% 未満っていう報告もあるんですけど。
これがいちばん近い風味だという炭酸水が出てきました。
自然な風味で悪くないけど、ビッチィ・カタランのような塩味風味は無い。
「ワインは、シーフードだから白だよね?」
「どうする?シャルドネとかにする?」
うん… アテネの先生、基本はしっかりしてるな、と感心しました。
「カタルーニャにいるんだから、グラナッチャ・ブランカかチャレロが飲みたい」
あまりにも具体的な葡萄品種が出てきたので、注文取りの兄さんが破顔しました。
「地元のワインにお詳しいですね!!どちらも置いてますよ!」
「どっちのほうが辛口? あと、青臭いのはイヤなんですけど…」
「青臭さはありません。チャレロのほうが辛口です。チャレロは…」
「カヴァに使う葡萄品種?」
「その通りです! では、チャレロをお持ちします」
そんで、持ってきたのがこれでした。
Bodegues Sumarroca 'L-lo' Xarel-lo (ヴィンテージは不明)
う~ん… 甘いかも? あるいは甘い香りがあるので、そう感じるのかも。
ただ、確かに芝草さとか青臭い感じは皆無で、これは結構好きかも。
アテネの先生もこのチョイスを気に入ってくれて、結局二人で一本カラッポにしました。
オリーブの國から来たアテネの先生… 手が止まりません。
「この後はライスをたっぷり食べるから、あまりオリーブを食べないほうが…」
「大丈夫。普段から食べ慣れている」
そうかぁ。やっぱりオリーブ食って育ったんだぁ…。
食習慣が違う部分では、違いすぎててひたすら感心。
プルポ・ガイェーガというパプリカとガーリック風味の蛸を頼んだら置いてなくて、これを勧められました。
OCTOPUS I AIOLI
Octopus with pepper and olive oil served with creamed potato and a spoonful of mild aioli
蛸にペッパーとオリーブオイル。ポテトとマイルドなアイオリソース添え
予想通りに蛸が柔らかい。アイオリに少し使ったガーリックがいい感じ。
「地中海の蛸って、めっちゃボコるから柔らかいよね。日本のは歯ごたえがあるよ」
「蛸は海辺で岩に叩きつけたりして柔らかくして食べるけど…日本ではそのまま?」
「そう。そのまんま茹でて薄切りにして歯ごたえを楽しむもの、かな?」
「ちょっと想像がつかない。柔らかくしないと蛸じゃない」
「以前TV番組で、イタリアだったかなぁ…蛸を洗濯機に入れてボコってるのを見た」
「それは酷い手抜きかも…」
やっぱり、地中海人的には蛸はボコってやわらかにするのが基本のようです。
これで二人前なのかよ!? という大きな鍋。でも薄っぺらだから中味はそんな量でもない。
蝦さんと海老さんが家族会議してます… 周囲にはアサリさんとムール貝さん達が。
蝦の背中の模様が…L結界浄化無効阻止装置のよぅでステキ! ←発作
「ランゴスチーノ(蝦)とガンバ(海老)は、日本語だとどっちも『エビ』なんだよね。漢字にすると違うけど」
「日本語って不思議すぎて手に負えない… 」
あっ、封印柱を剥がした! ヒトを捨てる気!? ←悪化
爪の大きなのと小さなのが来たけど、夫婦蝦ということでしょうか?(笑)
解体するのが面倒臭くてイヤなので、爪の大きい方の蝦はアテネの先生に譲ります。
先生… 嬉しそうに、ちうちうと爪の中まで食べていました。
蝦ひとり、海老もひとり、アサリがふたり、ムール貝が4人。(数え方、間違ってる?)
ムール貝は好きくないので、全部アテネの先生に差し上げました。先生は狂喜乱舞。
もちろん『子供の時に海苔の網に付いたムール貝を踏み潰して除去するバイト』のトラウマも説明しました。アテネの先生の観点では、ムール貝を踏み潰す行為よりも、海藻を養殖するという行為が衝撃的だったようです。(笑)
出汁をたっぷり吸った米の中にはマッシュルームも入っていて、もう、うっとり美味しい。
けっこうな分量がありましたが、ふたりともキレイに完食しました。
食習慣を鑑みるに…ポテトと豆で育ったスイスの先生より、アテネの先生の方が旅の連れとしては相性いいかも。
僕もおなかいっぱいだから… でも、ソルベなら大丈夫かも。
セロリが大嫌いなのに、なめてかかった自分を悔いました。
シックスナイン、99.9999% セロリ! ライムは酸味だけで、セロリに完敗してるし!
一口食べて床にころげそうになった僕のリアクションを見て、アテネの先生が試食。
「ぁ~… 確かにセロリの風味が凄いね」
こんな物体を口に含んで感想を述べる余裕があるヒト… 信じられない!!
でもサッパリしていて甘味と酸味がいいバランスなので、残すのも悔しい。
鼻に空気が抜けないように気をつけて食して… 完食しました。
そして、チェックアウトして、マスクを装着したら…
マスクがセロリ臭くなって、我慢できない!!
マスク外して泣きべそかきながら、ホテルまでの道を歩いていきます。
アテネの先生が「元気出せ!」とクリスマスデコレーションの前でポーズ取るし…。
「ほら、俺を撮れ!」って… この自信はどこから来るのか。
それにこのおっさん、身長185cmくらいあるから、このポーズはデカくて怖い…。
撮ったよ。もういいかい?
この後、今までの旅行中やった事のない「地鶏」と「ツーショット」というやつもやりました。(見せないよ)
もう、まるで田舎者の観光客みたい!(まさにそうなんですが…)
「僕ちょっと買い物してきますから…」
口直しに、トブラローネのアイスバーを発見!! これで口中のセロリ臭を除去できる!!
口直しに、トブラローネのアイスバーを発見!! これで口中のセロリ臭を除去できる!!
「し…信じられない!! ファインダイニングした直後にコンビニアイスを食べるなんて!」
なんか、コンビニのアイスを馬鹿にしてないか?
ギリシアってコンビニの地位が相当に低いのか?
「高級な食事をして、余韻が残っているうちに数十セントのアイス??」
「2ユーロ50セント! 小銭が足りなくて2ユーロ40セントにまけてもらったけど」
「信じられない!! なんでそんな事ができるの!?」
「日本ではトブラローネって高級なチョコなんですが…」
「信じられない!! 」
I can't believe it!! の連発。周囲の通りすがりがみんな「痴話喧嘩?」と振り返るレベル…(汗)
どう言っても、それなりのレストランでお食事した直後のコンビニアイスは許せない模様です。
アテネの先生が感心するポイントとか幻滅するポイントが、だんだん判らなくなってきた…。
なお、トブラローネのアイスバーは、ごく普通のチョコレート味アイスでした。
さらに翌朝、マスクを嗅いだらまだセロリ臭くて、速攻で新品に交換しました…。
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