Saturday, March 3, 2018

Restaurant benu - SoMa, San Francisco (2)

サンフランシスコ市内でミシュラン3つ星を獲得した,benu というお店でディナーした,の後編です。
日没後の入口。いい感じに廃屋感が醸し出されていますが,内部はステキにコンテンポラリです。

ここでようやっとコースメニューの最初の品が届きました。
メニュー読んでおおまかに暗記してたので,フタをかぶせてあるのは予測してました。

あけてビックリ,小籠包。
lobster coral xiao long bao  homemade soy sauce and vinegar
ロブスターの小籠包 自家製酢醤油とともに,です。

すっごい汁だくで,ぶよんぶよん...
家人が「これ,ものっ凄く熱いから気をつけなさい。」って警告してくれました。

箸で持ち上げて,酢醤油を少し盛った銀のスプーンに載せます。金属の匙なので放熱が速いです。
おいしい。とだけ書くと,ああこの馬鹿舌野郎!って罵倒されそうだけど,とにかく美味い。

ロブスターの風味が見事に乗ってる。鼎泰豐に通ってますが,あそこんちの黒トリュフ小籠包より感動的に美味い。
・・・と家人に告げたら「ふたりで千ドルだから。」と,家計簿を考慮した冷徹な返事が。(大汗)

アイビーさんに「いかがでしたか?」って聞かれ「シドニーやシンガポールに小籠包を食べに通ってるけど,今まで食べたどの小籠包よりも美味くて感動しました。」と正直な感想を伝えたら「最高のお褒めのお言葉,シェフにお伝えしておきますね♪」だって。

ここでちょっと驚き。コースの度にカトラリ交換は判るけど... 箸まで毎回交換されたよ!?
今度は木の箸です。お箸まで交換されて,しかもどのコースにもお箸が出てくるのって初めてだし,なんか嬉しい♪ という感想も伝えました。アイビーさん,喜んでたよ。
ここで家人は「安い割り箸のほうが使い易いけど...」と一言。(苦笑)

そして... さっきはメニュー一行で7品だったのが,今度は1サービングでメニューの3品が出てきました!
メニュー順だと下から上へ:caviar with hand-pressed sesame oil, sea urchin marinated in fermented crab sauce, lightly cured horse mackerel
手搾り胡麻油で和えたキャビア,発酵させたカニのソースでマリネしたウニ,軽くしめたマアジ,です。

ちいさな白い器をおひつに見立てた?ごはんが...。この三品をおかずに,ごはんを食べなさいって。
日本国外のミシュラン3つ星店で「ごはんとおかず」を食するの,初めてかも...。(日本国内でも未体験)

生まれて初めての体験ですが... キャビアごはん。大根と胡麻の葉を添えて。
金属スプーンで「箸挙げ」してみたけど,若干の違和感があったよ。でも味はとても複雑でステキ。

キャビアはグレーっぽいのでオセトラとかベルーガとか,ある程度の品質を確保しているようです。胡麻油でマリネされたせいで塩辛さが抑えられてて絶妙,おかずになってる。確かに北東アジア人には受け入れ易い構成。お皿を下げに来たコリア系の美しいサービスパーソンさんに「胡麻油和えのアイデア,最高。キャビアが塩辛くない」って,ベタ褒めしてきました。

その一方で,白ワインの選択に失敗したと思った。典型的なカリフォルニアのシャルドネで樽香がタップリ乗ったスモーキーな風味。教科書のようなシャルドネですが... このキャビア+ウニ+アジには無理。口内で風味が重ならないよう,炭酸水で口腔内の魚介風味を嚥下してから白ワインをいただいていました。ここは日本酒にしておけば大正解だったと悔やみました。

そして次のコースはウズラ。『見せびらかしの儀』が取り仕切られました。添えられた花は庭のジャスミン?
丁寧にオーガニックな地鶏っぽく育てた,でも肉がたっぷりのるようにエサ食わせまくったウズラだそうです...。

一羽をふたりで別けて,こんなんなって戻ってきました...。
barbecued quail Chinese artichokes with red cabbage and black truffle sause
ウズラのバーベキュー チョロギと紫キャベツに黒トリュフのソース

BBQだけあってか,ソースは朝鮮焼肉のタレっぽい。Chinese artichoke って何かと思ったら,チョロギでした。

ウズラの足がまるごとで,解剖実習を思い出して私ちょっと引くわ...。でも肉が最高にやわらかで美味しくて。
足と手羽はともかく,画面中央の立方体っぽい二切れが最高にやわらか&ジューシーで,うっとり美味しい。こんなに「肉満載」なウズラ,初めて食べた! これは紫キャベツと黒トリュフがほのかに香るBBQソースを付けて食べる至高の逸品でした。

ここで,箸休めみたいに挟まった「パン」というか「饅頭」が,こちら。
ハーブを加えて蒸したフカフカの熱々なバンズに,フォアグラっぽいレバーペーストとアサツキを塗って食べる。

・・・うっとり。

さらに,なぜかソムリエさんがスープを配給しにやってきました。・・・ソムリエって,液体すべて担当?(笑)
花の形にあしらった桂剥きしたような山芋に,さっきのウズラから取ったコンソメをそっとかけます...。

見た目はこんな感じ。
double buillon of quail with mountain yam ウズラの二度出汁ブイヨンに山芋を添えて
このスープはもの凄くコクが深くて,これでコンソメかい!? と驚くほどの風味の強さ。

最終の「おにく」に向かって,またカトラリが交換されましたが... なんか変な形に気づいた。
フォークの先っぽが5つって,珍しくね?
普通はフォークの先っぽってフォーマルだと4つ,カジュアルで3つになってたと思う。食器の選び方まで面白い。それと,ステンレスの食器は冷たく暗い銀色に写るけど,バフがけの銀食器は暖かなシャンパン色に写るのも面白い。

そして,2人前のおにくがテーブル中央にご来臨ましまし。
charcoal-grilled beef rib steak  braised riblet
炭火グリルのリブステーキ すみっこは蒸し煮で。

ふたりぶんの菜っ葉も届きました。
meju condiment with assorted lettuces レタスのアソート。
朝鮮焼肉のレタス巻きみたいにして食べて欲しいような説明を受けました。確かに新しい発見で美味しい。

取り皿の横には,みっつ添え物が...
scallion and perilla salad, pear kimchi 葱とエゴマ(サンチュ)のサラダ,梨の水キムチ

手前のちいさな壺には... こんなソースが。
キムチっぽいようなコチュジャンっぽいような発酵風味が入った,味噌っぽいソース。

サラダを添えてソースを載せて,ガーリックを1クローブまるごと引き取った「ひとりぶん」の図。
これとは別に,すみっこの煮炒めしたっぽい脂の多い組織一切れは半分こして食べました。
肉の焼き加減なんて聞いてくれなかったけど,絶妙にやわらかでジューシー。ニンニクの中身を取り出したり,肉を少し刻んでレタスに巻いたり,箸安めに水キムチをスプーンですくったり。これは複雑で美味しい,楽しい。

ここで食後のコーヒーか紅茶を聞かれました。
デキャフ(カフェインレス)のエスプレッソショットを所望。家人はカプチーノを。

メインデザートの前に,一品が挟まりました。
omija and olive oil 五味子(オミジャ)とオリーブオイル
オミジャとは,チョウセンゴミシという薬草の一種で,お茶にして飲む食材。季節柄いま満開の木蓮でも色と香りを足したそうです。非常に繊細な香りで,オリーブ油とソルベのヌメリ感がなんとも絶妙でした。

そして,デザート。ようやっとコースのいちばん最後。
winter melon with chrysanthemum flowers and leaves lightly frozen meringue with cream
冬瓜,菊の花と葉 軽く冷凍したメレンゲとクリームとともに

ものすごく優しい風味。冬瓜に加え「もってのほか」みたいな,菊の花と葉の風味が確かに入っているけど,メレンゲやクリームの食感と風味が調和。そしてなんといっても低温なので全てがまろやか。

さらに... ここでも名店の法則:最後は甘い物責めで終わる

家人... もう食べられないから降参して退席し,外で涼んでます。僕だけが最後まで体験。

アイビーさんが「最後のプチフール,御一緒にお出しできないのが残念です」って。申し訳ないっす。
水菓子は二人ぶん届いたから,両方たいらげたよ。キウイが絶妙な熟し具合。うすら甘いソースも上手。

プチフール。銀の器の中身以外は多分これでおひとりさま分...。
金属の器の中はホワイトチョコ,干し柿のスライスに,カラメライズした胡桃。
そのすべてにコリアの食材っぽいヒントが乗せてあるように感じました。

手前の白い器はほのかな果実や生姜の風味がする薄いシロップで,似たようなものをソウルで飲んだ記憶が。これにシナモンが入ったら完全に朝鮮料理のいちばん最後でよく出てくるスジョングァ=冷たくて甘いスープみたい。

薄布に巻かれているのは,ミント風味のパリパリ。すごく繊細でスペアミントの味がしました。

家人が外で待ってるわけだから,お会計は僕の担当。久しぶりに請求書を見てドキドキしたよ。(笑)

ふたりで$1,000弱。こんだけ飲んで食って,おひとりさま約500ドルと,お値は張るざました。
家人曰く「Gary Danko に2回行けるかも...」は的確な御意見でした。

いろいろ複雑で奇抜で美味しいですし,コリア系の食材に詳しい人はもっと深く愉しめそうですが,コスパ的にはちょっと凄いものがあるかも。それと,コリア系というか東洋系の食材が若干出演し過ぎなきらいも感じました。
でもまたチャンスがあったら訪れてみたいお店です。(岡山のセンセイがご来臨したら約束通り Danko だかんね。(爆))

Benu
Address: 22 Hawthorne St, San Francisco, CA 94105
Hours:
  Tue-Thu: 5:30–8:30PM
  Fri, Sat: 5:30–9:30PM
  Sun,Mon: Closed
Phone: (415) 685-4860
benusf.com


2 comments:

  1. obaKoba-sann,

    I hear that benu which is being awarded three stars from the Michelin Guide, is an establishment serving food and drink situated in the SoMa area of business district in SF.

    Mr. Lee was previously the most important cook at The French Laundry of Thomas Keller who used to be one of your most favorite chefs (lol), wasn’t he ?
    He seems to create a likeliness from abundant dissimilar foods, containing Cantonese and Korean, right ?

    The rooms of the restaurant must be made on the land of a momentous constructed dwelling which backdates to initially the center of operation of the San Francisco Newspaper.

    I look forward to a collection of recipes that explores the restaurant's food, influences, and collaborators –with Thomas Keller (LOL).

    best denki

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    1. Best Denki sensei,

      I will sincerely refrain from any comment regarding Chef Keller who is losing his infamous titles these days.

      In that “Laundry” there were bunch of oriental sous-chefs who have good talents and bright futures, and this chef at Benu is one of the successor.
      At Benu, the food materials/origins are typically from Korea, China and Japan, and it a bit too frequently used from my perspective, but the pure Westerns might have different opinion. That’s exactly why they awarded three stars by Michelin, I guess.

      Just one more concern: the location is a bit risky for me… after sunset, sometimes, South of Market is filled up with junkies and gangs, bunch of the sounds of gun shots… so we were lucky we caught a taxi right away.

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