Thursday, October 6, 2016

2016Mar.Barcelona - Restaurant Sant Pau

コレド日本橋にも分店があるレストランサンパウの,サンポール・ダ・マル Sant Pol de Mar 本店です。
東京店はそれでも立派なミシュランふたつ星ですが,本店は最高の3つ星を獲得し続けています。
毎年3月中旬はここ。とキメ打ちして,この数年はS.A.博士とともに訪ねておりました。

すでにRさんはいらっしゃらなくなりましたが,しっかりと「カップル御用達特等席」の7番テーブルへ。
もちろんオーナーのカルメさん&トニさん御夫妻にも再会できましたよ♪
ハーブガーデンやプラタナスのある裏庭。さらに駅のホームと時々電車,そして砂浜が拡がる海岸と青い地中海という一種シュールな組み合わせの独特な景色が拡がる窓際のまんなか席です。

そして... 僕たちが目一杯仰天するように多分Rさんもひた隠してくださったのでしょう。デグスタシオン(テイスティングメニュー)の構成がまるっきり変わっていました。

最初の仰天。ウェルカムドリンクがハウス・カヴァのCR20ではなくなりました。
ロゼのカヴァにストロベリーが浮かべてあります。
なんだかロマンチック。でも目の前にいるのは白髪のじいさん。(爆)

ついでに白状しておくと... 浮いている苺が口に入ってこなくてイライラしたのは極秘です。

高級懐石みたいにデグスタシオンの内容を書き連ねたものを受け取りました。・・・まさかの日本語版!?
この時のテーマは『』だそうです。季節毎にテーマを変えるという方法に変わっていました。「もし来週いらしていたら,次のテーマは『ダンス』になるんですよ♪」とのことでした。(後でジェロムさんも全く同じ台詞を言いながら,腰を振って説明してくれましたw)

・・・で,日本語に訳されているとかえって不安にかられる食材がいくつかある...。

 イソギンチャク... 富津海岸で踏み潰して遊んだけど,食べられたのか...。
 オイスターリーフ... 蛎殻のことだよね? インコさんがよく欲しがっていたけど...。
 プランクトン... (汗)。緑の皿だから,たぶんミドリムシのこと?
 海水... プランクトンに海水?? もうこのへんで脳が逝きました。

拝領した直後は老眼鏡をかけてなかったので,あちこち読み間違えて「ドクロ兵衛様のお仕置き?w」とか「ガンバ海老... 大阪産!?」とか「ポワローってベルギーの探偵??」とか自己脳内で勝手にウケていました。でもさすがにカレーの後の「ウコン」はターメリックの事だと自動的に補正が効きました。(笑)
 
英語でどう書いてあるかS.A.博士に見せてもらおうとしたら,ニマニマ笑って「ヤぢゃ♪」って言われました。

なので英語でどう訳されているのかは存じません。そして先生がワインを選択。
Celler El Masroig Les Sorts Blanc 2013 do Montsant

ベスト電器先生に言わせちゃうと「ガチャピン」ですが... ガルナッチャ・ブランカ Garnacha Blanca です。このところカヴァに加える「チャレロ xarello」という地産の白葡萄も気になっていましたが... スイスの先生はコンサバに,フランスでも見かける白ガルナッチャ(仏ではガルナッシュ・ブラン)を選んでくれました。

そして『色』をテーマにしたデグスタシオンが始まりました。

琥珀 クラゲ,ライスパスタ,ベーコン,ピーナッツ,カレー,ウコン
もう自分が馬鹿舌なのが判ってるから詳しくコメントしないけど,プレゼンテーションを通じてゼリー寄せとかパリパリ包みとか... 全体を通じてカルメさん&ジェロムさんの本領発揮です。

たぶんジェロムさんも一杯考えさせられて,相当禿げたものと思われ。(笑)

ピンク 馬肉,ビーツ,パイ生地
メヌを渡されても食材だけしか書かれていないので調理法が判らないのが,かえって楽しいかも。

 イソギンチャク,ポワロ葱,紫人参
リストされていませんが,エディブルフラワーはパンジーです。

グレー 茄子,レモン,セロリ,ベルモット,オイスターリーフ
蛎殻の型をした器に盛られてくるのも一興。言われてみれば牡蠣のような風味も貝殻のような風味も感じます。

 塩鱈(バカラオ),オリーブ,パプリカ,パセリ,プランクトン
バカラオを刻んだものが,おさかな形の下に潜んでいます。上のおさかなは多分プランクトンの?...ゼリー。
これ,スシが大好きなジェロムシェフの考案かもしれませんよ。

ここまで食べて来て,カラフルで楽しい! というのがかなり際立ってきました。
しかも,もちろん美味しいです。プレゼンで驚かされなから,食べてもビックリ。
これはまさにサンパウの真骨頂と申せましょう。

 海老,サフラン,エッグパスタ,山椒
黄色でエビかぁ?...と訝しんでいたら,海老は隠れていました。サフランや山椒といった性格のきつそうなスパイスは上品に使ってあるだけです。

 アーティーチョーク,ドゥロック豚の喉肉

ここでもう肉をはさんでしまう。コース構成にもコントラストがつけてあって驚かされます。

そして... 今まで「あの皿が美味しかったなぁ。また食べたいなぁ」と思っていたシグネチャーが。
アーティーチョークのソースが「赤」の皿に隠れているという驚き。

 ガンバ海老,ロメスコ出汁,パスタ,南瓜
これも「ロメスコ出汁」が聞き覚えのある材料で,なんだか安心。(笑)

書き方がいいかげんですが,どの皿もさすがに素晴らしく美味しいですよ。

 アンコウ,黒ニンニク,野菜

お皿がまっしろなおかげで,ホントに一瞬全部まっくろな食品が出てきたようでビックリしました。

で,人参やオクラを食べてみると... 現れたのが「黒ニンニク」のスライスでしょうか?
蝶々のような形で面白い。スイスの先生も「写真記録しておきなさい。」と命令してきました。(笑)

 牛のバラ肉,マトーチーズのディムサム
ディムサム=飲茶ですから蒸し物が出るのかな?と思っていたけど... 見かけは確かにそう。

でも,割ってビックリ。(カットして混ぜてお召し上がりください。と指示を受けました)
ビーフ&チーズのかほりとトリュフのかほりが... うっとり。

以上で,おさかな ~ おにくのコースを終え,次がチーズになるわけです。

ワイン Baridàチーズ,HKMソース,ピスタチオのビスキュイ
ピスタチオのビスキュイがいちばん下に隠れてるのは判るよね?Baridà チーズというのは見るからに山羊のチーズで繊細です。

 蝶豆の花のエスプーマ,海水
確かに青い。食品で青いというのは...? と驚きつつ,スプーンを差し込みました。

中はこんなんなってました。
これは以前に食した,前メートルのRさんもお気に入りの料理「アーモンドミルクのふわふわ仕立て」の応用です。アーモンドではなくもっと繊細な風味の「蝶豆」に変えて海水を感じるようになっています。

サービスパーソンさんが「青い色は天然色素なんですよ♪」って,材料を見せてくださいました。
青い花。もしかしてこれが蝶豆の花? それ聞くのを忘れたというか... やぱしスペイン語習わなくちゃ。>をれ

ベージュ 焦がしミルクパウダー,お茶,赤チコリ,ルッコラ,オレンジ
日本人だと「焦がしミルクパウダー」と言われなければ「きな粉」だと思ってしまうでしょう。風味は全然洋風です。

 24K金粉,チョコレート,生クリーム,ウヰスキー
筒の左手前上部に見えますが,24カラットの金粉だそうです。まぁ,金箔も金粉も金属の展性と延性を目一杯利用するから普通24Kだよね。

そしてパリパリの殻を割ったら,内部はこんな。
目の前に出てきた時点でもう香りがしていたけど,口に含むと... 予想通りに高級ウヰスキーのスモーキーなアタックが真っ先にやってきます。これは大人のデザートです。

プチフールは,この日はちょっと肌寒いけど,みんなもやってるし,せっかくだから庭に出て。
さっそくジェロムさんが出てきてくれました。S.A.博士とのツーショットも,もうこれが最後だから晒しちゃいます。

先生だけ晒すのは不公平だから... 見苦しくてすまん。>毒者
ジェロムさん,すごくスレンダー&マッチョになってると思ったらRさんに影響されて?走り込んでいるそうです。なお,この日は土曜日でしたが,翌日がバルセロナマラソンの開催日。ジェロムさんはこの晩のディナー(ラテンなので多分午前1~2時に終了!?)のお仕事をこなしてから,フルマラソンに参加なさったそうです。僕も写大の時には青梅から中野坂上キャンパスまで3時間半で走れたけど... ジェロムさんのほうが全然速いスピードで完走なさったそうです。(沿道へ応援しに行ったけど,あまりの人数でジェロムさんを見つけられなかった...。先生,途中で飽きちゃうし。(泣))

なお,ジェロム選手... 腰をフリフリしながら「『カラー』は今日まで。来週からは『ダンス』のテーマだよ~♪」って新メニューで嬉しそうでした。こっちはどんどんジジイになって衰えていくのに,他方でどんどんヘルシーに,なおかつ自分の道をずんずん進むジェロムさんとRさん。羨ましい限りです。

そして,プチフール。
「カタルーニャ地方の伝説の生き物」シリーズの2作目でした。フェラフォックという名前の怪獣ですが... これ以上私見を語ると放送禁止用語がふたつは出てきそうなので自粛いたします。(爆)
で,形は違うけど松の実を使う「天使のパイ」等の素材が同じで,食べるぶんには安心できます。でもいずれあの『タコ』や『郵便箱』みたいなのとか『猪の獅子舞!?』も登場してくるかと思うと... 私なんだか怖いわ。つか,全作品を観られるだけ長生きできるかが疑問。(笑)

最後にエスプレッソ・ドッピオをいただいて無事終了。
期せずしてスイスの先生と最後に御一緒した Fine Dining がサンパウになってしまいましたが,最高のレストランで最後の思い出を作れたのは偶然以上のものがあるように感じてしまいます。

最後のぱっちは,窓側席7番テーブルから店内を観ましたの図。
内装もかっこいいよね。

今度は来年。途中でアッラーアクバルとかかまされていなければ,またお邪魔します。

・・・以上,2016年3月に伺ったサンパウ本店さんでのデグスタシオンでした。またブログは休眠するかも...。

4 comments:

  1. obaKoba-sann,

    You might be frequently questioned, “What’s your preferred diner?”
    It must be impractical to reply, as expected, however you may answer, “It depends on the kind of eatery, the financial plan, the atmosphere…”

    Although if you had to select, you’d take the restaurant.

    In the middle of the restaurant, open luminescence from sun comes into sight though abundant skylights which keep an eye onto the very clean cultivated plants and, above that, the bright sea.

    It’s a magnificent glimpse but you’ll scarcely perceive - you won’t be capable to take your eyes off your food in front of you, will you?

    How excellent is it?

    You’ve got a paradise there in Barcelona!


    And Requiescat in Pace, Dr. S.A.


    best denki

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    1. Best-denki sensei,

      My favorite dinner is おでん(関東炊き)as always, followed by the 納豆ごはん+生卵+生醤油 in the morning. Ah, I'm such a Chiban. Yesterday I stopped by Japanese supermarket to buy おでんセット but all of the essential items were in frozen food department because the climate is not yet matured to be for vast majority... even the weather here in San Mateo doesn't have actual winter.

      btw.
      Here at Sant Pau HQ restaurant, yes the view is absolutely unique but somehow somewhat indescribable... we can see Mediterranean sea turns its colors during we are having meticulously precisely constructed tasty dishes. Simultaneously, poor train passengers, typically young couples, are watching us from the train platform located beyond the garden (the 2nd picture actually shows some train passengers watching us from there). That is fun for us to sport our 上から目線 both financially and physically. (LOL)

      The next visit plan to be here is set in January 2017, before Okayama visit. It'll be another unusual and interesting situation so I'm seriously looking forward to be here again.

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  2. 相変わらず、手の込んだと言うか、想像を超えたお料理が次々と出てきますねえ。日本語に翻訳されているのが嬉しいと言うか・・・でも、そんなに日本人のお客さんも尋ねるのでしょうか?フェラフォック?二作目なんですね、東京で頂いたドラゴンはヤモリ的でしたが、今度のドラゴンは本格的?いずれ、東京にも登場・・・もうしてるのかな?

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    1. あつさん,

      この日本語訳...たぶんキッチンにいるスーシェフさんの誰かが翻訳させられているんだと思います。昔はRさんが訳していたんでしょうが... 東京店があるだけに日本語訳を置いてるのが凄いです。立地はバルセロナ中心部から電車で一時間ぽっきりですから日本人客もそれなりに来ると思います。以前S.A.博士と伺った時には,イギリス人客の奥さんが日本人でした。

      プチフールの形状,一回目のは本店と東京店で違ってたんですよ。本店のほうが大型で複雑。パティシエさんの技量の差とか,東京は温湿度管理が大変だからだと思われます。フェラフォックは小ぶりになったから東京店でも共通だと思われ。メニュー更新タイミングは本店・東京店ほぼ同時みたいだから,今年いっぱいはまだフェラフォックが愉しめると思います。

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